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例年より、約1カ月早く開幕した夏の小倉競馬。主に中京や阪神のダート1400メートルで開催されてきたプロキオンSは、初めて小倉ダ1700メートルの舞台で争われる。
「ZBAT!ピックアップデータ」は過去10年、小倉ダ1700メートル(3勝クラス以上)での脚質別成績に注目した。先行が最多の17勝(勝率12・8%)、逃げが7勝(同15・6%)と、中団、後方よりも優勢。見逃せないのは、まくり(4勝)が勝率33・3%、連対率50%、単勝回収率931%といずれもトップの数字を残していることだ。そこで、9歳馬ウェスタールンドを軸に指名する。
GIII・アンタレスSを制し、2018年のGI・チャンピオンズCで2着。後方で脚をため、勝負どころから長くいい脚を使うスタイルで活躍してきた。前走の交流GI・東京大賞典は後方3番手から向こう正面でまくり、勝ち馬と0秒1差の3着と健在ぶりを見せつけた。今回は6カ月半の休み明けだが、7日には栗東坂路でラスト1ハロン12秒4(4ハロン53秒1)。赤池助手は「動きは抜群。上向きましたね」と仕上がりに太鼓判を押す。
小倉ダ1700メートルの種牡馬別成績をみると、5位以内の種牡馬の産駒で、今回出走しているのは2位ネオユニヴァース産駒のウェスタールンド一頭だけ。同産駒はトップタイの4勝と、血統面の後押しもある。
交流GI勝ち馬ワイドファラオとともに実績最上位の存在だけに、「まくっていく脚はあるし、メンバー的にも負けていられない立場」と赤池助手。9歳馬史上初となるJRAダート重賞制覇へ、3コーナー手前から自慢の末脚さく裂だ。
★まくり…差しや追い込み脚質の馬が、最後の直線が短く、末脚が届きにくそうなコースで差し切りを狙う際に、向こう正面や3コーナーなどから早めにスパートをかけて位置を上げる戦法。一瞬の切れ味より末脚の持続力に優れた馬や、仕掛け通しでもバテないスタミナ豊富な馬に用いられることが多い。
★プロキオンS…1996年に創設されたGIII。99年までは桜花賞の翌週に行われており、2000年に夏季開催へ移設された。96~2005年、07~10年、20年は阪神ダ1400メートル、06、11年は京都ダ1400メートル、12~19年は中京ダ1400メートルで開催。小倉ダ1700メートルでの開催は今年が初めて。
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