<書評>『東アジアの歌と文字』 歌の記述の普遍性、特殊性
古い時代から神歌、労働歌、葬送歌、恋歌など、人々の暮らしに歌は欠かせないものだった。日本では八世紀の『古事記』『日本書紀』『風土記』に歌が記されており、『万葉集』には身分の異なるさまざまな人々の歌が集められている。
沖縄の神歌集『おもろさうし』(16~17世紀)にも多くの歌が収載されている。表題に「ありきゑと」「船ゑと」と名付けられた巻があるが、現代の沖縄語「イートゥ」は「労働のときのかけ声のこと。また、労働歌。」を意味する(『沖縄語辞典』)。ここから古琉球では移動や船こぎの際にオモロが歌われたと推察できるが、旋律や歌唱法など詳らかになっていない点も多い。最後のおもろ主取の歌を採譜した山内盛彬の功績により、一部のオモロの旋律は確認することができるが、その他の大部分のオモロはどのような旋律だったのか、現在では分からない。
本書は、日本古代、琉球・沖縄、中国少数民族の歌と文字との関わりについて部ごとに編まれている。
日本古代の部では、『古事記』『日本書紀』『万葉集』の表記(音仮名、訓主体表記、注記、表題)から歌唱に関するさまざまな情報が分かるという。また、『万葉集』の行為遂行文の拡張にも言及している。
琉球・沖縄の部では、『おもろさうし』の記載法と音価の研究史、琉歌と宮古・八重山の歌謡の表記の特徴と問題点、八重山の歌謡が記録されて生じた問題、宮古語の記載法の特徴など、地域や時代の異なるさまざまな事例について論じられている。
中国少数民族の部では、現在も歌掛けを行う人々の表記の諸相が紹介されている。声の歌と文字との往還が辺境の民族とどのような接点があるのかについても述べられている。
(仲原穣・琉球大非常勤講師)
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