環境に配慮した婦人服ブランド「SAISA」の製品を紹介する竹沢文孝社長(左)と企画担当の宮塚麻緒さん=福井市の東郷商店で2021年7月13日午後5時20分、大原翔撮影
衣服用の生地の企画販売を手がける福井市の「東郷商店」が、環境に配慮した材料で生産する婦人服ブランド「SAISA(サイサ)」をスタートさせた。生地には使用済みペットボトルが原料の繊維を使い、織りや縫製といった工程をほぼ全て福井県内企業に依頼して製造する。竹沢文孝社長(52)は「持続可能な製品として売り出すことで、消費者が環境保全やSDGs(持続可能な開発目標)に関心を持つ契機になれば」と語る。【大原翔】
欧州を中心にファッション業界で環境に配慮する意識が高まったことを受け、東郷商店は2年前、ペットボトルを使った再生ポリエステル糸の開発に着手。ペットボトルは不純物が多いため加工が難しく、スポーツ用ユニホームなどに使われてきたが、着心地が重視されるファッション製品には向かなかった。同社は別のメーカーと協力し、婦人服用の柔らかな風合いに仕上がる糸を完成させた。
新ブランドの製品はワンピースやTシャツ、ブラウスなど16品を用意した。デザインは福井市に住むフランス出身のヴィルジニー・ルフェーブルさんに依頼。環境への配慮というコンセプトに沿う花や地球柄とし、アートのようなデザインに仕上げた。
同社が消費者向けの最終製品を扱うのは初。これまでは、商社を通じてファッションブランド企業などに向けて生地を企画販売するBtoB(企業間取引)を手がけてきた。新ブランドで消費者向けの販路開拓を目指す。
竹沢社長は1997年に日本海沖で船舶が座礁し、重油が流出する事故が起きた際、海岸の清掃ボランティアに参加し、環境保全への関心を深めた。事業で環境分野に貢献できないか模索し、環境負荷の少ない製品の開発にこぎつけた。竹沢社長は「環境への意識を高めている消費者とともに、新ブランドを大事に育てていきたい」と意気込んでいる。
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