ポスト太田の存

2021年07月03日07時19分
　剣先を下げる独特のスタイルで相手ににじり寄り、一瞬の隙に小さなポイントを正確に突く。初舞台に挑むフェンシング男子フルーレの敷根崇裕（２３）＝ネクサス＝の強みは、世界でも屈指の攻撃力。日本勢では、２００８年北京五輪で銀メダルを獲得した太田雄貴以来となる個人の表彰台へ、「迷いなく攻めようと思う」と意欲満々だ。
　「（五輪の）延期のおかげで今の自分がある。すごいチャンス」と力を込める。昨年、太田氏と食事をした際に「もっとしっかり体重を落とせよ」と言われて一念発起。フィジカル強化に集中的に取り組み、苦手のランニングも毎日１０キロ。体重が１０キロ近く落ちて「フットワークが軽快になり、スタミナもついた」。３月のグランプリ（ドーハ）準優勝が自信を深めた。
　元選手で日本協会強化本部長も務めた父裕一さん（５５）から基礎を学び、１０代の頃から将来を嘱望された。１９歳で銅メダルを獲得した１７年世界選手権後は手首骨折などから低迷したが、本番を前に勢いを取り戻した。自他ともに認める高い技術があり、青木雄介監督は「作戦を立てるのが上手。何を準備しているか読みづらい選手」と戦術眼も高く評価する。
　気心の知れた同年代の松山恭助（ＪＴＢ）や西藤俊哉（セプテーニ・ホールディングス）らと組む団体にも意欲十分。「僕らの世代でメダルを取らなければいけない思いが強い」。ポスト太田の存在を知らしめる大会へ、覚悟を持って臨む。

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