6月中旬、午前8時過ぎ。前橋署へ向かう際、県道「問屋町」交差点で記者の車は右折レーンに入ったが、先に並ぶ3、4台が右折しただけで信号はすぐに赤になった。次の信号待ちもあっという間に赤に。3回目の右折矢印でようやく通過できた。
信号制御の仕組みを聴こうと県警交通規制課を訪ねると、庁舎9階に案内された。主要道の道路状況を把握し、信号をコントロールして車両の通行を円滑にする「交通管制センター」がある。
2階分の吹き抜けに大きなパネルと25面のモニター。パネルでは渋滞状況などが一覧でき、モニターでは前橋市や高崎市、太田市など交通量の多い交差点に設置した30カ所のカメラ動画を切り替え、確認できる。三国、碓氷、内山の三つの峠の静止画も見られる。
「3回目の右折」には理由があった。「午前8時過ぎといえば、県庁方面に向かう通行量が増える通勤ラッシュの時間帯。多くの車が通れるようにコンピューターで自動制御している」と交通規制課の吉川真人調査官。より混雑する側の青信号の時間を1割ほど長くするなど調整しているという。問屋町交差点は朝の時間帯、右折の矢印表示が7秒に設定されている。
一方、日中の空いている時間帯でもタイミングを制御する。横断歩道があれば、まずは歩行者が安全に渡れるように設定。さらに国道の直線部分などは、車両がスピードを出しすぎないように隣り合う信号を調整している。
私道などを除き、県警が管轄する交差点は県内に4205カ所。その3分の2は、個々に設定されたパターンで切り替わる。センターが制御するのは約1400カ所という。
昨年は、「青信号を長くしてほしい」など58件の要望が寄せられた。県警は現場を確認し、必要に応じて改善している。吉川調査官は「交通量は刻々と変わるので、微調整は欠かせない。でも、信号を守って走ってもらうことが、全体のスムーズな交通につながります」と話す。
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