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「IT部門は“御用聞き”から脱却せよ」-- ガートナーフェローが訴える意図とは
松岡功
 今回は、ガートナー ジャパン バイスプレジデント, アナリスト/ガートナーフェローの藤原恒夫氏と、セゾン情報システムズ 代表取締役社長の内田和弘氏の発言を紹介する。
「企業のDXに向けてIT部門は“御用聞き”から脱却せよ」
ガートナー ジャパン バイスプレジデント, アナリスト/ガートナーフェローの藤原恒夫氏
 ガートナー ジャパンは先頃、「ガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット」をオンラインで開催した。藤原氏の冒頭の発言はその中で、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功に導く組織文化変革の進め方」をテーマにした同氏の講演において、IT部門の役割と動き方について語ったものである。
 藤原氏の講演の中で筆者が最も注目したのは、冒頭の発言の発端ともなった「企業のDXに向けたIT部門の役割と動き方」の話である。同氏は企業のDXに向けてIT部門が貢献していくためには、「IT部門の活動に対して経営層の信頼を得た上で、事業部門との信頼関係を構築し、強力なパートナーになっていくべきだ」と言う。その象徴的なメッセージが冒頭の発言である。
 藤原氏の説明を基に、IT部門が事業部門の強力なパートナーとなるための5つのステップを以下に示す。
 多くの企業における従来のIT部門は、事業部門から依頼された要件に則ってシステムを構築し、テストを経て事業部門に利用してもらうといったベンダーのような役割を果たしてきた。これはいわば「御用聞き」である。
 だが、企業が全社的にDXを推進する上で、本来デジタルに精通するIT部門が御用聞きから脱却して、新たな役割を果たすのが望ましい。5つのステップはその新たな役割に向けたアクションである。そのステップごとの具体的なアクションと、それに伴うIT部門と事業部門の相対的な関係、そして関係構築の焦点を1枚の図で示したのが、図1である。
図1:IT部門が事業部門の強力なパートナーとなるための5つのステップ(出典:ガートナー ジャパン)
 この図の見方としては、左から右へと5つのステップを描いたもので、ITアクションの内容を軸に見ていただきたい。その内容によって、両部門の相対的な関係や関係構築の焦点が変わっていくことを示している。
 図3に記されている内容で筆者が最もポイントだと思うのは、御用聞きからの脱却に向けて、IT部門から事業部門に対して能動的にアクションを起こしていることだ。事業部門の視点からすれば、「DXを進める上でIT部門が頼もしい協力相手になってくれるならばありがたい」といったところだろう。もちろん、先述したように、こうしたIT部門の取り組みには経営層のしっかりとした後押しが不可欠である。
 藤原氏は現状を踏まえてDXに関連付けているが、上記のようなIT部門の取り組みは以前から見られ、筆者もこれまでさまざまなプロジェクトを取材して目の当たりにしてきた。だが、藤原氏が言うように「御用聞きからの脱却」は、まだまだ多くのIT部門の課題となっている。その打破を後押しすべく、改めてここで同氏の「明言」として取り上げておきたい。

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