清水屋（酒田）自己破産申請へ　15日営業終了、負債10億円見込み

2021/7/3 10:38
今月15日の閉店後、自己破産を申請することになったマリーン５清水屋＝酒田市
　経営悪化に伴い、今月中旬の営業終了を検討していた酒田市中心部の商業施設「マリーン5清水屋」は2日、閉店後に自己破産を申請する方針であることを明らかにした。負債は約10億円の見込み。営業終了は15日で、最後の1週間は閉店セールを行い、71年の歴史に幕を閉じる。
　清水屋は現在、日本百貨店協会には加盟していないが、県内唯一の地元デパートとして営業を続けてきた。近年は郊外店などに消費者が流れ、経営が悪化。2021年3月期の売上高は6億9600万円と前年から半減し、損失は4245万円に上った。今年5月下旬に社長が死去し、その後、経営体制の再構築を図ったが、1カ月以上、後任の社長が決まらなかった。今月1日に開いた取締役会で、監査役から取締役となった堀正彦氏（67）を社長に内定する一方、営業の終了と自己破産の申請を決めた。
　市街地の空洞化や新型コロナウイルスの影響で先が見通せず、取り引きのある四つの金融機関が設置していた会議も先月末で解散。資金繰りが困難になることが予想され、経営再建を断念した。堀氏は「個人的にも思い入れの強い場所。非常に残念だ」と語った。
大火復興の象徴、惜しむ声
　ハイブランドの直営店も入り、中合が撤退後も日本百貨店協会非加盟ではあったが、地域に愛されてきたデパートとしての顔は保ってきた。「根強いファン、常連客も多く、いまでも評価は高い」と関係者。35年間、通い続けてきた市内に住む50代女性は「清水屋に行くことが楽しみで、品質の良い、幅広い商品があることが魅力だった。できれば再生してほしい」と願った。
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