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ウェブブラウザーの世界においては、個人情報の扱いに関して評判がよくないにもかかわらず、依然として「Google Chrome」が独走している。そのシェアはおよそ65%で、20億人が利用している計算になる。
最大のライヴァルであるアップルの「Safari」は大きく差をつけられており、シェアは20%にも満たない。ユーザーのデータを収集している点を抜きにしても、Chromeは多大な影響力をもっているのだ。
グーグルの規模と影響力が度を越しているなら、Chromeを永遠に見限ったほうがいいのだろうか。プライヴァシーの専門家によると、答えは「イエス」だ。
Chromeは、Google 検索やGmailを含むグーグルのデータ収集インフラにがっちりと組み込まれている。その支配力があるからこそ、グーグルはウェブ上に新たな基準を打ち立てることができる。Chromeはグーグルにとって、最強のデータ収集ツールのひとつなのだ。
こうしたなかグーグルは、プライヴァシー保護を求める競合ブラウザーメーカーや規制当局などからやり玉に挙げられている。というのも、Chromeに変更を加え、ブラウザー上のユーザーの動きを追跡するサードパーティーのCookieを廃止すると発表したからだ。
欧州での具体的な廃止計画は未定だが、グーグルはCookieに代わり独自の「プライヴァシーを守る追跡技術」を謳うFLoCを導入する考えである。これに関して専門家らは、Chromeのユーザー基盤が絶対的な規模を誇っていることでグーグルの影響力はさらに強固なものになり、競合他社が犠牲になるだろうと指摘している。
驚くべき情報収集力
Chromeを“お払い箱”にすべき別の理由が、その大々的なデータ収集能力だ。アプリが収集する情報を説明するアップルの「プライバシーラベル」によると、Google Chromeはユーザーの位置情報や検索履歴、閲覧履歴、ユーザーの識別情報(ユーザーID)、製品とのやり取りのデータを、「パーソナライズ」を目的に収集している。
こうした情報収集によってユーザーはブックマークを作成したり、Google アカウントにパスワードを保存したりといった機能を利用できるのだとグーグルは主張する。だが、競合するSafariやマイクロソフトの「Edge」、「Firefox」とは違い、Chromeは収集したデータをデヴァイスや個人と結びつけている。
Chromeは閲覧データを合法的に扱う必要があるものの、ユーザーの行動に関する大量の情報は流用されるかたちでグーグルの手に渡る可能性があると、プライヴァシーコンサルタント企業のMiss IG Geekの創業者でディレクターのロウェンナ・フィールディングは指摘する。「Chromeでインターネットを閲覧しているなら、たとえプライヴェートモードであっても、グーグルはあなたのオンライン上の動きを逐一観察しています。そうすることでグーグルは、ユーザーの性格や興味関心、弱点、誘因などについて、詳細かつ精巧なイメージを描くことができるのです」
Google アカウントとChromeの同期後も、データの吸い上げは続く。GmailやGoogle 検索といったグーグルのサーヴィスから収集された情報と統合され、ぞっとするほど正確なイメージが形成されるのだ。
Chromeのデータは、「Google マップ」から得られた位置情報の履歴やGmailのメタデータ、ソーシャルグラフ(オンラインとオフラインで交流した相手)、Androidスマートフォンで利用しているアプリ、「Google Pay」で決済して購入した製品とひとまとめにされる。「そうすることで、あなたがどんな人間で、どのような暮らしを送っているのか明確なイメージとしてつくり上げられていくのです」と、フィールディングは語る。
例えばGoogle Payでは、ユーザーのオンラインとオフラインの購入履歴が収集されているうえ、その中身が「ほかのグーグルのサーヴィスで収集されたデータと同じように扱われる可能性がある」と、フィールディングは言う。「購入したものだけでなく、それにまつわる位置情報やデヴァイスの接触と情報、リンクなどもわかるので、複数のデータセットからあなたは識別され、プロファイリングされることになります」
巨大なシェアゆえの影響力
グーグルの影響力は、そのシェアを超えたところにまで及んでいる。マイクロソフトのEdgeのような競合するブラウザーも、実はChromeと同じオープンソースのエンジン「Chromium」で動作しているのだ。「つまり、ほかのブラウザーも中身は同じChromeの一種なのです」と、セキュリティを専門とする独立研究者のショーン・ライトは指摘する。
グーグルは巨大なシェアを誇っていることから、モバイル検索でページを高速表示できる「AMP」のようなウェブの標準規格をつくることも可能だ。AMPを使わなければ、コンテンツの提供者は自分のページを検索結果の上位に表示させることができない。
さらに、Cookieに代わってChromeにFLoCが導入されることになれば、この新しい追跡技術は実質的にグーグルの支配下に置かれることとなる。ただし、FLoCはほかの開発者からフィードバックを得ながらオープンなかたちで開発されている。
グーグルはその影響力を使って業界の方向性を決めることができるのだと、ライトは言う。「うれしい変化も一部であり、HTTPS暗号化への移行が標準になるなどしています。でも、それ以外はFLoCをはじめ自社に都合のいいことばかりです」
グーグルにとってのChromeの価値
グーグルによると、同期したChromeの閲覧履歴に自社の広告製品がアクセスすることは、スパムや不正行為の防止といった目的以外にないという。また、アップルのプライバシーラベルに記載されている項目は、Chromeアプリで最大限に収集可能なデータの種類であり、実際に収集されているデータの内容はユーザーがChromeアプリのどの機能を使っているのか、どう設定しているのかによって異なると説明する。
さらに、グーグルのオープンソースである「FLoC API」はプライヴァシーに重点を置いており、「Google 広告」に排他的な権利やアクセスを与えるものではないとも主張している。グーグルはプライヴァシーとセキュリティについて、「常にChromeブラウザーの中心に据えてきた」ともいう。
グーグルの広報担当者によると、Chromeにはフィッシングやマルウェアを防ぐセーフブラウジング機能があるほか、Chromeでの情報管理がしやすい機能も追加されているという。そして最近は、ユーザーがデータを管理できる方法の導入を進めている。「Chromeでは、異なるデヴァイス間で常にデータを同期しておいたり、サインインの際にGoogle アカウントに保存されるアクティヴィティを選択したりできる便利なオプションが用意されています」
だからといって、データ収集が可能な範囲が変わるわけではない。それにグーグルが市場を支配し、広告駆動型の統合されたエコシステムの存在だけで大きな発言力を手にしている事実は、依然として残っている。
INFORMATION
「ブラウザーとネット検索の市場を半分以上も手中に収めれば、大きな影響力が転がり込みます」と、英政府通信本部(GCHQ)の元サイバーセキュリティ担当コンサルタントのマシュー・グリッベンは指摘する。「世界中の開発者やSEO専門家は、ひとり残らずグーグルの気まぐれを気にして顔色をうかがわなければなりません。そうなれば、ほかのすべてを犠牲にしてでもグーグルの都合に合わせたサイトをつくることを優先させるようになります」
また、ユーザーがChromeやほかのサーヴィスを使っている以上(その多くは確かに競合他社のサーヴィスよりユーザーフレンドリーである)、グーグルの影響力が先細りする兆しはない。
Miss IG Geekのフィールディングによると、Chromeはグーグルにとって「行動データや人口統計データを大量に提供してくれる情報源」で「ユーザーの閲覧体験を管理する手段」である。そして、「都合のいいウェブを形成するためのプラットフォーム」であり「獲物」なのだ。「Chromeでなければ好きなツールやゲーム、サイトを利用できないというなら、ユーザーはほかのブラウザーに変更しようとは思わないでしょうね」
理論上は市場競争とデータを保護する法律がグーグルの“暴走”を防ぐ手段になるはずだと、フィールディングは指摘する。だが実際のところ、「それができていません」とフィールディングは言う。「背景にはさまざまな理由があるようです。例えば、グーグルと国の規制当局では資本力と影響力に差があります」
さらに、グーグルは多くの政府や経済にとって役立つ存在でもある。こうした世界的な企業に国内の法律を順守させることは、そう簡単なことではないという。
Chrome以外の選択肢
Google アカウントの“守り”を固めたいなら、閲覧履歴のデータが収集されないようにChromeとGoogle アカウントの同期をやめたり、サードパーティーのCookieによる追跡をオフにしたりといった手段を講じることができる。
ただし、Chromeで使う機能が多ければ多いほど、適切に動作しているか確認するためにも、グーグル側はより多くのデータを必要とすることを忘れてはならない。グーグルの影響力と支配力がこれからも増大する一方なら、あとはChromeの利用を完全にやめてしまうしかない。
Chromeを“お払い箱”にすると決心しても、機能が満載でプライヴァシーに配慮したウェブブラウザーはほかにいくらでもある。「Firefox」「Brave」「DuckDuckGo」といったブラウザーなら、いかなるユーザーデータもグーグルの手に渡ることはないのだ。
※『WIRED』によるブラウザーの関連記事はこちら。
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