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July 12, 2021 / 6:02 AM / 36 minutes ago更新
コラム:米軍アフガン撤退、そして新たな「グレート・ゲーム」
Peter Apps
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[ロンドン 8日 ロイター] - 今月2日、米軍はアフガニスタン領内に残る最後の主要基地からひっそりと撤収した。一方で、ロシアの支援を受けたシリア軍はイドリブに対する空爆と包囲を強化し、人道的支援のためのシリア・トルコ間の最後の越境ルートを封鎖する準備を進めていた。
7月8日、 米軍は今月、アフガニスタン領内に残る最後の主要基地からひっそりと撤収した。写真はカブールで6月、アフガニスタン治安部隊への支持とタリバン打倒を訴え、武器を手に集まった人々(2021年 ロイター)
こうして見ると、20年前にアフガニスタン安定化に向けて北大西洋条約機構(NATO)各国の部隊が活動を開始して以来、中東・南アジアの情勢がどれほど変化したかを痛感させられる。2011年のリビア内戦への介入までは、いや、最近でも2019年の過激派組織「​イスラム国(IS)」との戦いまでは、米国は、少なくとも自らそれを望む場合には、依然として紛争介入において主役の座を占めていた。
今後も、まれにではあっても、そうした状況は残るかもしれない。イラクとシリアに駐留する米軍部隊は数百人レベルにまで減少し、カブールの駐アフガニスタン米国大使館を警護する部隊も似たような規模になっているとはいえ、米国の空軍力・海軍力は依然として他のどの国よりもかなり強力だ。
だが、重視される地上部隊の兵力という点で、現在では米国以外の国が優勢で互いに影響力を争っており、すでにリビアやシリアにおける戦闘の様相は一変している。
そもそも、米国自身は自らが希望する役割を本当に自覚しているのか、まだ明確になっていない。米軍や米国政府の多くの機関はこれほどの長期にわたり中東・アフガニスタンに関与してきたのだし、当然ながらこれからも存在感を維持したいと考えていても不思議はない。だが、手を引くことを望む国内その他の要因はますます強まりつつある。
今後のアフガニスタンにおいて、米英両国の大使館を警護するそれぞれの部隊が駐留を続けるか否かは、トルコがカブール空港の警備を引き続き担うという提案の実現にかかっている。アフガニスタンにおいて大きな国際的プレゼンスを維持するのは、米英両国以外にはトルコくらいしか残りそうにない。
他の多くの紛争の場合と同様に、トルコは国際的に重要なプレイヤーの一角を担うことを狙っている。だが、ロシアや中国その他の国も、影響力増大とリスク緩和の機会を探っている。
<パキスタンでは中国、タジキスタンではロシア>
中国にとって、それはすなわち、長年のパートナーであるパキスタンとカブールの政府当局との協議を深めることを意味する。協議の内容には、アフガニスタンの首都カブールからパキスタン北西端に位置するペシャワールに至る高速道路の建設計画も含まれるとされている。これは当該の地域に革命的な変化をもたらす可能性があり、インドの強い反発を招く可能性がある。実現のためには現在とは治安状況が大きく変わる必要があるだろう。
ロシアにとって中央アジア諸国の中で最も親しい同盟国であるタジキスタンは7日、アフガニスタンと山岳国境地帯の安全確保についてロシア政府からの支援を求めた。ロシアもアフガニスタンとは歴史的な経緯があるとはいえ、中東の場合と同様に、米国に取って代わる機会をみすみす逃す様子はなく、中央アジア全域において外交・軍事的な働きかけを強めているところだ。
現地メディアの報道によれば、アフガニスタンの主要道路の一部はすでにタリバン支配地域の中にあり、全34州の州政府所在地のうち、北部の拠点都市であるマザリシャリフなど15カ所は、ほぼ武装勢力に包囲されている。米メディアが伝える米情報機関の予想では、アフガニスタン政府自体が6カ月から1年で潰れる可能性があると見られている。もっとも、一部の地域では政府軍がすでに崩壊状態にあるとも言われており、政権崩壊がもっと早く生じる可能性もある。
リビア、シリア、イラク、イエメンでは、米国は程度の差こそあれ関与を続けている。だが最近では他国の影響力の方が強い場合が多い。この状況が特に有利に働いているのはロシアで、シリアとリビアでかなりのプレゼンスを獲得し、地中海東部で勢力を大幅に強めているロシア海軍の拠点を確保している。とはいえ、地域レベルでのパワーバランスはさらに複雑で、もっと小規模な勢力もそれに乗じている。
<ほとんど報道されない戦争>
リビアでは2011年、米国政府がNATOの同盟国とともに暫定的な連立政権をまとめあげ、ムアンマル・カダフィ氏を失脚させた。現在では、石油・天然ガス資源獲得の思惑が一因となり、ロシア、トルコ、アラブ首長国連邦、エジプト、フランスその他の外国からの支援を受ける勢力の間で、複雑な内戦が生じている。
シリアに目を転じると、石油資源に富むクルド人居住地域では米国がそれなりの軍事的プレゼンスを維持しているが、現在では、紛争の主な要因となっているのは、ロシアの支援を受けるアサド政権とトルコの間の広範囲にわたる対立である。トルコは、自国軍部隊やトルコが支援する民兵組織によって国境沿いの一部地域を支配している。
ロシアは2015年に介入を開始して以来、地上部隊と空軍により内戦の形勢を左右するだけでなく、国連安保理での拒否権を行使することにより、シリア問題に関する外交努力にも影響を与えている。
2011年と比べ、最近ではこれらの紛争の情勢が国際メディアで報道されることはめったにない。米軍の活動に関する報道もめっきり減っている。たとえば、今週シリア領内の米軍基地での爆発が報じられたが、詳細はほとんど明らかにされていない。
実際、米国と中東との関係における重要な展開の多くは、ほとんど報道されないか、少なくとも公式発表のないままになっている。今週、サウジアラビア国防副大臣のハリド・ビン・サルマン王子がワシントンを訪れた件もその一例だろう。今月初め、イラク領内の親イラン勢力に対する米軍の攻撃が強化された件も同様だ。イラクでは、実戦部隊の撤退後も米国の関与が予想以上に強く残されているものの、やはりその影響力の低下が見られる。
アフガニスタンにおける今後の展開も、同じようにほぼ無視されるかもしれない。
これまでの大半の報道は、米英両国が次にどのような手を打つかに注目したもので、現地で何が起こっているかには無関心だ。トルコによるカブール国際空港の警備は、劇的な勢力回復を見せたタリバンとの合意にこぎつけるかどうか次第だと思われる。とはいえ、合意の詳細も、そうした合意が本当に実現するかどうかも、ほとんど報道されない可能性がある。
だからといって、多くの国がアフガニスタン情勢に今後関心を払わないという意味ではない。西側諸国はひとたび自国軍部隊を撤収したらアフガニスタンの存在など忘れてしまいたいかもしれないが、地域の覇権を巡る21世紀版「グレート・ゲーム」は、まだ始まったばかりなのだ。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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(翻訳:エァクレーレン)

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