ソフトボール・上野由岐子、完投なし　北京と違って省エネ投球

　東京オリンピックのソフトボールは27日、横浜市の横浜スタジアムで決勝があり、日本が米国を2―0で破って2008年北京五輪に続いて金メダルを獲得した。
　多彩な球種でストライクゾーンぎりぎりを巧みに突き、凡打の山を築いた。六回途中でマウンドを後藤希友（みう）＝トヨタ自動車＝に譲ったが、後藤の緊張を見てとった宇津木麗華監督が「我々を一番、引っ張ってきた上野しかない」と決断して七回から再出場。青ざめた後藤を見た上野は「逆に自分がやってやる」と心を奮い立たせ、3者凡退で締めくくった。
【日本－米国】金メダルを獲得し記念撮影する上野由岐子（前列右から3人目）、宇津木麗華監督（同右端）ら日本チーム＝横浜スタジアムで2021年7月27日、大西岳彦撮影
　強打の米国打線を相手に計6回を2安打無失点。奪三振は5にとどまったが、「いかに楽にゲームを作って打者を抑えられるか。今は三振が全てじゃないということを踏まえながら投球できている」と胸を張った。
　日本代表の3投手の中では今でも最年長の上野の球が最も速い。一方、疲労が抜けにくくなるなど年齢を重ねた影響もあり、大会中は登板後に「39歳をリアルに感じた」と語ったこともあった。ただ、上野は引き出しが多く、北京五輪のスタイルからモデルチェンジしても結果を出すことができた。
　北京五輪では決勝までの2日間で計3試合を1人で投げ抜いた「上野の413球」が大きな話題となった。今大会は完投はなく、7日間の日程のうちの4試合で球数は389球。北京五輪の時とはひと味違った形で、投球の奥深さを示した戴冠だった。【細谷拓海】

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