「一番に近い経験」　米大リーグの歴史変えた大谷　夢舞台終わる

　歴史を変えた。ア・リーグの1番・指名打者（DH）として一回に打席に立った大谷はその裏、先発のマウンドに上がった。89年に及ぶオールスター戦史上、誰もなしえなかった投打同時先発出場の偉業を成し遂げた瞬間だった。大役を終えた大谷は「（大リーグに来て）一番に近い経験だった。楽しかった」と、ほっとした表情で額の汗を拭った。
先発投手として出場した大谷＝米コロラド州デンバーで2021年7月13日、AP
　先発投手としての記念すべき第1球は96・1マイル（154キロ）の速球。「普段は初回から三振ばかり狙ったりはしないが、今日は全部（三振を）取りにいった」と全力投球で挑んだ。球速は最速100・2マイル（約161キロ）を計測。残念ながら三振は奪えず、「いいところに投げてもしっかりコンタクトされる率が高かったし、さすがだなと思った」と悔しがったが、見事、3者凡退で終えた。
　打撃では第1打席は二ゴロで第2打席も一ゴロ。今季両リーグトップの33本塁打の破壊力を見せつけることはできなかったものの、ほぼ満員のスタンドからは大きな歓声が上がった。
　日本選手で初出場となった前日の本塁打競争とあわせて2日間の球宴が終わった。「球場入りから試合から、野球が好きな人たちがこれだけ集まってくれて、シーズン中にはなかなかない、いい雰囲気だった。また来られるように頑張りたい」と大谷。今季は日本選手初の本塁打王の期待がかかり、投手としても自己最多だった1年目の4勝を上回るのは確実。無限の可能性を感じさせる27歳の若武者にとって、この日の快挙は通過点にすぎない。【デンバー福永方人】
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