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「空中栽培」の小玉スイカを見守る田上堅一さん=三重県名張市鴻之台4で2021年7月6日午後4時28分、久木田照子撮影
 地上1メートル以上の高さで実らせた「空中栽培」の小玉スイカの販売が10日、三重県名張市東町の農業生産法人「風農園」の直売所で始まる。通常は地表で実らせるスイカ。空中栽培は手間もコストもかかるものの、水分や養分の調整で高い品質を追究できるという。約2000個の収穫を見込んでおり、田上堅一代表(47)らは「挑む生産者が少ない栽培方法。『空飛ぶスイカ』として名張の新たな特産品にしたい」と意気込んでいる。【久木田照子】
 2009年の農園の開業時からの主力農産物はイチゴと米。近年は付加価値の高い農産物のブランド化を模索し、華やかな見た目で味が良い「超大粒」の高級イチゴに力を入れてきた。
 小粒を含むイチゴの収穫期は12月から翌年5月。夏に出荷できるものとして着目したのがスイカだった。各地に有名産地があるイチゴに比べて産地は限られ、九州や東北など遠方が中心。競合相手が少ない7月中旬に出荷もできる。2年間の試験栽培を経て20年に本格栽培を始めて、市のふるさと納税の返礼品にもなった。
 名張市鴻之台4の風農園のハウスでは3月にイチゴの収穫をやめ、プランターの培土を黒いシートで覆って太陽光で消毒。4月10日から、前年の2倍の1200株を地上約1メートルのプランターに植えて世話をしてきた。種まで食べられる「ピノガール」など3品種を育てており、実がつくと網でハンモックのようにつるして収穫に備える。
 風農園によると、空中栽培の利点はチューブで与える水や養分の量とタイミングを調整できること。また、通常は病気や連作障害を防ぐため、カボチャなどの苗に接ぎ木をして育てるが、味が良いとされる実生(スイカの種から育てた苗)方式を採用した。
 一方で、難しい点もある。根を張る範囲が狭くなるため実が小さくなりがち。つるすためか楕円(だえん)形になりやすい。皮が薄くて消費者に好まれるが、収穫前に割れやすい。難問に直面するたびに、種苗会社の「スイカ師匠」に相談しながら、試行錯誤して育ててきたという。
 ブランド農産物にしたいと、情報発信にも力を入れた。従来のSNS(ネット交流サービス)に加えて、小玉スイカの空中栽培を家庭菜園用に教えるインスタグラムを開設。小学生を含む県内外の栽培体験者とやりとりをしながら、道のりを発信する。「虫や病気の攻撃をくらっています」「収穫目前で20個ほど割れて意気消沈」などと悪戦苦闘ぶりを報告し、対処法を細やかにつづる。「物語のある品が好まれる」という消費者の傾向に合わせたPRを模索する。
 収穫直前の7月6日、大きなものを切って糖度を測定したところ、一般的なスイカを上回る14.9度という結果に。シャリシャリとした食感にも仕上がっていた。田上さんは「栽培が予想以上に難しく、失敗した時は逃げたくなるほど切ないが、唯一無二のものを名張の小さな農園から送り出したい」と話す。
 贈答用でLサイズ(1.7キロ以上)2160円など。直売所は不定休。午前9時半~正午。問い合わせは風農園(0595・48・7215)。
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