停戦後のガザを歩く　復興進まぬ封鎖された「天井のない監獄」

「天井のない監獄」との言葉を聞いたことがあるだろうか。中東・パレスチナ自治区ガザ地区は、境界を接するイスラエルによって人の出入りや物資の流通を厳しく制限されている。この封鎖状態の中、貧困にあえぐ人々の状況を表した言葉だ。そのガザで起きた大規模戦闘は5月下旬に一時停戦したが、その後はどのような状況にあるのか。再訪した記者が現地から報告する。【ガザで三木幸治】
一時停戦から1カ月半、苦境続く
イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスの戦闘が5月下旬に一時停戦してから、約1カ月半が過ぎた。両者は引き続き長期的な停戦に向けた交渉を継続。だがイスラエルはガザへの物資流入を厳しく制限し、復興を「妨害」することで交渉を有利に運ぼうとしている。ガザ市民の苦境は続く。
　「救いようのない状況だ」。そう話すのは、ガザ北部でマットレス会社などを経営するジャウダット・コーンダリーさん（62）だ。工場は5月10日から11日間続いた戦闘の間に3棟が崩壊。自身はハマスとの関連はないが、「ガザ経済を悪化させ、ハマスを追い詰めるため」に狙われたと考えている。自費でがれきは取り除いたが、資材や資金がなく、その先の工事は進まない。従業員約250人のうち約200人には給料も払えず、「市民は生活再建の見通しが立たない」と話す。
　6月下旬に訪れたガザ市中心部は、停戦時とほとんど変わっていなかった。AP通信などが入居し、空爆されたビルの跡地も、がれきが積み上がったままだ。
　イスラエルは戦闘が始まった5月10日以降…

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