0-51で大敗の公立高野球部　「初心者集団」いざ夢の初勝利へ

　打者は一塁に走るという野球の基本ルールすら知らなかった。そんな野球未経験者がメンバーのほとんどを占める公立高校の野球部がある。部員ゼロからチームを結成し、初の公式戦は0―51の大差で敗れた。それでも実戦を積み重ね、2年目の今夏、甲子園への切符が懸かる地方大会に初めて出場する。底辺からの「下克上」を誓う初心者集団の成長の記録を追った。
　兵庫県中央部の中山間地域に位置する丹波市。ここに全校生徒110人ほどの県立氷上西（ひかみにし）高校がある。創部45年の野球部は2011年夏の県大会1回戦で、記録的な敗戦をした。対戦校に56安打を浴び、大会史上最多の71得点を許したのだ。その後、夏の県大会では一度も勝てていない。部員が足らず、他の運動同好会から助っ人を借りて出場するのがやっと。何度も廃部が検討され、他校の野球関係者から「大変な学校」と同情の目で見られた。
新監督が就任、まずは部員集めから
　藤田監督は実績のない県立高で監督を務め、県ベスト8に導いた経験があった。挑戦を続けることで生徒が成長する姿を何度も目にし、「野球の力」を感じていた。氷上西高でも「同じような経験をさせてあげたい」とチームの再建を買ってでた。
　当時、野球部員はゼロ。6月に学校が再開すると、部員集めから始めた。藤田監督は新入生に「放課後に暇なやつは運動場へ遊びに来い」と声を掛けた。…
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