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祷 ブルーハワイは、ファミレスや喫茶店でクリームソーダを頼みたいのに、いつも間違えて「ブルーハワイください」と言ってしまうので、それをニックネームにされたと。主人公のハダシだけは本名だと聞きました。
-お二人とも、つい最近まで高校生でしたね。部活動はやっていましたか。また、今回“映画部”を体験してみていかがでしたか。
河合 私はダンス部でした。大人数の仲間と一緒に一つのものを作るという体験をし、その楽しさも分かっていたので、それを思い出しながら演じたところはありました。  
祷 私はバレーボールをやっていました。ただ、中学校のときに、クラスで「3年4組殺人事件」という短編映画を作ったことがあって、修学旅行のバスの中で1度だけ上映したのですが、そのとき、皆が見ている後姿を見ながら、とても幸せな気持ちになりました。今回は、そのことを思い出しながらやっていました。
-この映画を通して、映画作りの魅力について、どのように感じましたか。
河合 大きな現場になると、ハダシのように全員の意思をまとめることは難しいと思いますが、この映画で、ハダシが撮りたいものが皆に伝わっていって、皆が同じ方向を向くというのを見ながら、根本はこうあるべきだと思いました。最初に「誰かのやりたい何か」というのがあって、それをちゃんと皆で共有できる、というのが物作りの理想なのではないかと思いました。その意味では、この映画の現場は、それに近いものがありました。ほとんど順撮りだったので、ハダシ組として映画を撮るのと、『サマーフィルムにのって』という映画を撮ることがリンクしている感覚がありました。それがいい作用として、完成した映画に出ていればいいなと思います。
祷 私も同じように思いました。映画は、俳優の演技、照明、録音、編集、音楽など、いろいろなものが合わさって完成します。自分の得意分野や好きなことを持っている人が集まって、足りない部分を補い合いながら、それを組み合わせて、一つの作品を作り上げます。この映画の登場人物たちも、皆が違う役割を持っていて、それを集めることで、大きな力になっていきます。それがこの映画のテーマでもあるし、実際の映画作りの現場でも、軸になることだと思いました。
-ハダシが撮る映画は時代劇でした。時代劇についてはどう思いましたか。
河合 今まで、積極的に見る機会はありませんでしたが、やっぱり長い間残っているものには理由があると思いました。例えば、今撮っているものが、何十年かたったら、時代劇みたいになるかもしれないし、そう考えれば、現代劇と何ら変わるところはないと思います。これからも時代劇を勉強したいと思いますし、出てみたいです。
祷 クランクインする前に、(松本壮史)監督から「これを見た方がいい」というリストが送られてきて、それを基にいろいろと見ました。撮影で、実際に時代劇を見るシーンもあったので、ハダシ役の伊藤(万理華)さんと一緒に『座頭市』も見ました。すごく昔に撮られたものなのに、撮り方やカメラの寄り方など、今の映画よりも新しく感じる瞬間があって、古いものだとは全く思いませんでした。黒澤明監督の『椿三十郎』(61)がすごく好きになりました。出ている人が、そのたたずまいだけで、いろいろなものを醸し出しているし、見る人を信じて撮っている感じがして感動しました。
-この映画には、青春映画やラブストーリーとしての魅力もありますね。
祷 中学生のときに、一生懸命映画を作ったことも、今から思えば青春ですが、そのときは「青春だな」と思いながらやっていたわけではありませんでした。この映画の撮影に臨んで、完成した作品を見て思ったのは、「青春映画として作っていないから、青春映画になったのかな」ということでした。本当に、皆が、目の前のことに精いっぱいで、真っすぐで、体当たりで、というさまを、そこにいない人が客観的に見たら、「青春だ」と思うのではないかと。この映画で気付きました。
 

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