目撃証言は女子生徒だけ　１０年１０カ月、地道な捜査　高２刺殺で男逮捕

　事件は午後１１時前、閑静な住宅街の一角で発生。将太さんは直前、当時１５歳だった知人の女子生徒と連絡を取り合い、合流していた。２人は現金など何も奪われていなかったことなどから、将太さんの交友関係やトラブルの有無を中心に捜査は進んだ。
　事件当時の目撃証言は女子生徒だけ。自動販売機の前で２人で話し込んでいたところ、１０メートルほど離れたポールに座っていた髪の長いジャージー姿の若い男が突然、ナイフを振り下ろした、と証言していた。
　だが、将太さんの周辺にトラブルは見当たらず、通り魔的な犯行の可能性も含め、捜査対象を拡大。目撃証言や物証が少なく捜査は難航した。事件から６日後、現場近くの側溝から凶器のナイフが発見され、初動捜査の遅れを批判する声も上がった。
　県警は女子生徒の目撃証言を基に似顔絵を作成。将太さんの両親や友人らは事件１年後から毎年、ビラを配るなど情報提供を呼びかけ続けた。有力情報の提供者に最大３００万円を支払う公的懸賞金（捜査特別報奨金）制度も利用し、警察庁が毎年更新していた。
　父の敏さん（６２）は被害者支援のあり方を学ぶため通信制の大学で法律を勉強。「僕ら家族が生きている限り、犯人を追い詰める」と話していた。

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