「上野を中心に」チーム一丸　宇津木監督の執念実る〔五輪・ソフトボール〕：時事ドットコム

　代表１５人を発表した３月。目指す戦いを問われた監督は「上野（由岐子）投手（ビックカメラ高崎）を中心としたソフトボール」と言い切った。決勝では先発して六回無死まで投げ、最後の七回も再出場して計６回無失点。上野の働きなくして優勝はなかったが、一人の力だけでたどり着いた頂点ではなかった。
　決勝も含めて、先発した４試合は全て途中交代。開会式前日の２２日に３９歳となった上野が疲労を蓄積して調子を崩さないよう、指揮官は起用法に心を砕いた。再三の好救援でエースの負担軽減に貢献したのがチーム最年少、２０歳の後藤希友（トヨタ自動車）。「自分がやってきたことを結果として出せた」。この日も六回のピンチを無失点で切り抜けた左腕は、充実した口ぶりで振り返った。
　上野を援護するため、監督はなりふり構わず泥臭い攻撃を仕掛けた。一回表から走者が出れば送りバントや内野ゴロで得点圏に進めて相手に圧力をかけようとした。四回の渥美万奈（トヨタ自動車）の先制打も、そうしてつくった２死一、三塁から。パワーの米国にチーム一丸で立ち向かう日本の真骨頂だった。
　遊撃の渥美や三塁の山本優（ビックカメラ高崎）は守備でも貢献。年齢を重ね、「アウトは三振が全てじゃない。いかに省エネで打者を抑えられるか」と打たせて取るスタイルに変化した上野を、再三の好守でもり立てた。
　「北京の時はとにかく投げることに必死だった。今はみんなに助けてもらいながら投げている感覚」と振り返った上野。自身を生かすために、戦略を駆使した宇津木監督と試合後に固く抱き合った。「よく頑張った。日本を引っ張ってくれてありがとう」「むしろ迷惑掛けてすみませんでした」。言葉を交わした２人の目に、涙が光った。

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