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 史上初のプロレスラー出身国会議員として、2期12年にわたり参院議員を務めたアントニオ猪木氏(78)は、肉体的にも精神的にも常に敵と闘い続けてきた。苦杯をなめた時、勝利を収めた時、勝敗が付かなかった時。猪木の政治ヒストリーを取り上げた『猪木道――政治家・アントニオ猪木 未来に伝える闘魂の全真実』(河出書房新社・2021年4月刊行)では、リング上で歴戦を繰り広げてきた幾多のライバルのみならず、プロレスをばかにする世間、議員時代には永田町のお作法や価値観、自らを異端視する周囲との闘いぶりを記した。そして今、最強の敵との闘いが最終章に差し掛かっている。
闘いの原点は「怒り」
 昨年、猪木本人へのインタビューをすべて終えた筆者に、猪木が著書のタイトル名を尋ねた時の言葉だ。最終的には、猪木が引退試合で披露した詩「道」と、その壮絶な人生を道になぞらえ「猪木道」に落ち着いた。ただ、猪木の生き方と「怒り」は切っても切り離せないものだと強く実感したのを思い出す。
 猪木が繰り広げてきた闘いの原点には、いつも怒りがあった。ジャイアント馬場と同じ日にデビューしたにもかかわらず、師匠の力道山は馬場ばかりを優遇、付き人に据えた猪木を冷遇し、時には鉄拳制裁も辞さなかった。近年こそ再評価されている史上最強ボクサー、モハメド・アリとの異種格闘技戦は、当初「凡戦」やら「茶番」などと非難された。
 1989年の参院選出馬の時は、消費税反対で「国会に卍(まんじ)固め、消費税に延髄切り」を掲げて初当選。その後のイラク人質解放劇では、国会議員や政府、メディアからの激しいバッシングを反骨心に変えた。北朝鮮訪問を繰り返したのも、遅々として日朝間交渉が進まない政府への怒り。これらすべてに通じるのは、猪木を象徴する有名なフレーズのひとつ、まさに「バカヤロー!」の境地だ。
少年の日、ブラジルで見た光
 猪木が最も印象に残っている国会質疑として挙げる「UFO議論」。2015年4月の参院予算委員会で、中谷元防衛相(当時)に「宇宙人がいるのかいないのか、私には分かりませんが、考え方を変えれば、何かが領空侵犯をしているということになる。今までにスクランブル(緊急発進)を掛けたことがあるのか」と正面から尋ねた途端、議場にいた議員数人が「何を言っているのか」と小ばかにした。苦笑いを浮かべていた議員の顔を、この先も忘れることはないという。
 「人を小ばかにしようと何しようと、まあ構わない。でも、政治やバッジという権威の中に座って、そういう目線から見ていると、世界全体がどうなっているのか、との視点が欠け、頭が回らなくなるのではないかな」
 14歳で家族とともにブラジルに移住し、コーヒー農園で働いていた時のある日の夕方、地平線から何かが光り、反対の地平線に消えていったのを見たとの少年時代のエピソードを踏まえて質問した猪木。レスラー時代に加え、議員時代も「独自外交」で世界を回っていた経験からすれば「温室で育ち、永田町であぐらをかいている、お前ら若造議員に何が分かるのか」との思いからくる憤りだ。
イラク訪問後のバッシング

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