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ふと見かけた父娘の姿で入った好奇心のスイッチ ダウン症の女性描いた「わたしはダフネ」演出、フェデリコ・ボンディ監督:時事ドットコム : comparemela.com
ふと見かけた父娘の姿で入った 好奇心のスイッチ ダウン症の女性描いた「わたしはダフネ」演出、フェデリコ・ボンディ監督:時事ドットコム
2021年07月03日12時00分
ダウン症の女性と彼女の父親の関係がコミカルなテイストでつづられ、見る者の心にじんわりと染み込んでくる。イタリア映画「わたしはダフネ」は、長らくドキュメンタリー畑で活躍したフェデリコ・ボンディ監督の長編映画第2作。実際にダウン症を持つ女性を主演に据えて描く親子のドラマだ。ボンディ監督は「ダウン症に関する知識は皆無だったが、作品作りを通してその複雑な特性を僕自身が学ぶ結果になった」と語る。作品の日本公開を前に話を聞いた。
映画はイタリアのキャンプ場で主人公のダフネ(カロリーナ・ラスパンティ)と父親のルイジ(アントニオ・ピオバネッリ)、母親のマリア(ステファニア・カッシーニ)が楽しげに過ごす場面から始まる。ところが、マリアがキャンプ場で倒れ、そのまま帰らぬ人に。物語は、愛する者を失った父娘がそのショックから徐々に立ち直るさまを丹念に追って進んでいく。
作品作りのきっかけは、数年前に年老いた男性とダウン症の娘がバスの停留所で手をつないでいる姿を偶然見かけ、強く心引かれたことだった。「『母親はどこにいるのだろう?』とか『二人のつないだ手と同じように力強い映画を作ることができるだろうか?』などと、さまざまな思いが浮かびました」
早速、ダウン症に関するリサーチを始め、当事者や医療関係者に面談した。当事者が集う催しにも参加して生の声を拾い、そこで得た情報を基に脚本を執筆した。
物語作りに当たっては、ダフネがダウン症であることは必要以上に強調せず、ごく普通の親子の物語として父と娘の関係性の変化を描くことに力を注いだ。「ダフネが持つ人間としての底力をスクリーン上に表現したかった。彼女は愛情豊かで友人もたくさんいて、職場でも能力を発揮している。そうした彼女の個性が、彼女自身を悲しみの底から救っていく様子を描きたいと思いました」
同時に目指したのは「リアリティー」の追求だった。ボンディ監督はもともと「自転車泥棒」のビットリオ・デ・シーカや「無防備都市」のロベルト・ロッセリーニらに代表されるイタリア・リアリズム作品に憧れて映像作家を志しており、今作でも現実をそのまま写し取ったような先達の描写手法を見習ったという。
◇「本来の魅力引き出せる」と主演俳優の個性も反映
「素人でしかもダウン症の女性を主役にして撮影するのはリスクを伴うやり方だった。でも、今回の映画で俳優にメークを施してダウン症に見せるようなやり方は道徳的、倫理的に正しくないと思った。この選択は僕がドキュメンタリーを撮っていたことも関係しているのかもしれない。素人をキャスティングして効果を上げた、過去のネオリアリズム作品の手法を踏襲したいとの思いもありました」
ストーリーの大枠はキャスティングが決まる前に固まっていたが、「カロリーナとの出会いで僕らが得た要素も反映させようと思った」という。ダフネの職業は当初、植物の栽培に従事しているという設定だったが、ラスパンティの職場での働きぶりを見て実際と同じスーパーの従業員に変えた。「その方が彼女もやりやすいだろうし、彼女が持つ本来の魅力を引き出せると思った」と語る。
物語全体がコミカルな雰囲気を帯びたのも、ラスパンティと彼女自身の父親とのやりとりをせりふに取り込んだことが大きく影響しているという。「二人はこちらが驚くぐらいに、辛辣(しんらつ)な言葉でやり合い、お互いをからかっていた。その様子はとてもユーモラスで、この作品をコメディーとして撮ることには何の迷いもありませんでした」
ダウン症の人をありのままに描くことで、彼らに対する興味を抱いてほしかったという。「だからこの作品に特別なメッセージはない。ご覧になった皆さんはさまざまなことを考えると思うが、そこで何らかの結論が出るかどうかは問題ではない。でも、何かを考えるきっかけにはなる。そのことが重要なのです」
作品を作るときは、今作のように自分が見た光景からインスピレーションを受けて、それが発展して形になるケースが多いと明かす。介護の世界を描いた長編映画デビュー作「Mar Nero」(2008年、日本未公開)も、外国人介護士の世話を受ける自身の祖母の姿からイマジネーションを膨らませて物語を構築したという。
映画製作に当たる際は「題材には無知であること」が大切だと考えている。「そうすると僕の中で『知りたい』という好奇心のスイッチが入る。知らないことは、僕にとって創造の大きな原動力。この映画ではダウン症の人々が直面する現実に触れて胸を痛めたこともあったが、一方でさまざまなことも学べた。その経験は今後の映画作りにも必ず生かされるでしょう」
今作は2019年のベルリン国際映画祭のパノラマ部門に出品され、国際批評家連盟賞を獲得した。次回作は群像劇になる予定だが、再びドキュメンタリーを撮りたいとの欲求も高まっているという。「ドキュメンタリー、ドラマに関係なく、映画を作るときは常に刺激的な現実が僕に新しい世界を見せてくれる」。今後もその両輪で活動を続けるつもりだと今後の抱負を語った。
「わたしはダフネ」は7月3日から東京・岩波ホールで。全国各地で順次上映。(時事通信編集委員 小菅昭彦)
フェデリコ・ボンディ(Federico Bondi)=1975年生まれ、イタリア出身。大学卒業後に発表した初長編作「Mar Nero」がロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞、エキュメニカル審査員賞などを受賞。その後はコマーシャルフィルムやドキュメンタリー映画をメインに活動する。
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