＜深川　市民と歩む美術館２０年＞上　芸術身近に　若手育成も：北海道新聞 どうしん電子版

　一昨年まで週１回のペースで開いていたが、新型コロナウイルスの影響で休止状態になっていた。久しぶりの活動に、４０年来参加している斉藤百合子さん（７７）は「深川で絵の技術を高めることができる大事な場所」と語る。滝川や旭川などから参加する人もおり、東洲館は会場を無料で提供している。
■入館料は無料
　館長の渡辺貞之さん（８０）は深川出身で、道学芸大旭川分校（現道教育大旭川校）を卒業後、定年まで空知管内の小学校で教員を務めた。在職中の１９７０年代から旭川の新ロマン派展や全道展、道外では独立展などに作品を発表し、２００９年から３年間、全道展事務局長を務めた。
　「芸術は敷居の高い高尚なものではなく、日常に溶け込んだものでなくては」。渡辺さんは「ぴいぷる」会員へのデッサン指導のほか、後進の育成にも力を注ぐ。東洲館は絵の楽しみを伝えるだけでなく、画家を志すきっかけづくりの場となってきた。
■個展が登竜門
　札幌市の佐藤仁敬さん（４０）は、小学生時代からぴいぷるのデッサン会に通い、金沢美術工芸大に進学した。０９年６月に全道展絵画部門で最高賞に輝き、同年７月にジョイント展を東洲館で開いた。「デッサン会後の館長の講評には独特の緊張感があり、貴重な体験だった」と振り返る。
　今年で開館２０周年。年間運営費６６０万円の小さな美術館ながら、千点ほどの作品を収蔵し、北空知の芸術文化拠点として道内各地から年間約１万人が来館する。だが、美術館の運営が軌道に乗るまでは多くの苦難を乗り越えねばならなかった。（深川支局の斎藤雅史が担当し、３回連載します）
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