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『ファンタジアン』植松伸夫氏ロングインタビュー。ゲーム音楽を作ること、音楽への想い、そしてこれからの話にまで展開したファン必読のテキストをお届け!【サウンドトラック先行配信記念】 : comparemela.com
『ファンタジアン』植松伸夫氏ロングインタビュー。ゲーム音楽を作ること、音楽への想い、そして これから の話にまで展開したファン必読のテキストをお届け!【サウンドトラック先行配信記念】
『ファンタジアン』植松伸夫氏ロングインタビュー。ゲーム音楽を作ること、音楽への想い、そして“これから”の話にまで展開したファン必読のテキストをお届け!【サウンドトラック先行配信記念】
『ファイナルファンタジー』シリーズをはじめ、数多くのゲーム音楽を手掛けている作曲家の植松伸夫(うえまつ・のぶお)氏。近年もコンサートや自身が結成したバンド“EARTHBOUND PAPAS”などで精力的に活動している。
植松氏による『FANTASIAN』の音楽は、ご自身が「原点回帰を目指した」と語ったように多彩なメロディとリズムが展開するバラエティー豊かなもので、聴く人の感情を大きく揺さぶる旋律に満ちている。
そんな『FANTASIAN』のオリジナルサウンドトラックが、2021年7月21日よりApple Musicで先行配信がスタートした(パッケージ版は2021年7月28日より発売)。
“音楽のすごいファン”が作った『FANTASIAN』の音楽
でも、そのころは「ゲーム音楽にこの先、どんな可能性があるのだろうか」、「残された自分の時間でどんなやりがいを見いだせるだろうか」といろいろ悩んでいたので、即決はできなくて、「前向きに考えるから少し時間をください」と。
それから坂口さんと、お互いが考えていることとか、何十年もいっしょにやってきて見えてきたこと、できなかったことなどをメールでやり取りしているうちに、
――時間をかけて口説かれたと。
――本当に恋人のように口説かれたんですね(笑)。過去のインタビューで「ゲーム全編の音楽を手掛けるのはこれが最後になるかも」とおっしゃっていましたが、そのお気持ちはいまも変わりませんか?
植松そうですね。でも、僕は口説かれたら落ちる男ですから、口説き上手がいたらわかりませんけど(笑)。いや、
ゲーム1本の音楽を作るのって、ものすごいエネルギーがいるんですよ。1年……もしかしたらそれ以上の時間、ほとんどそのことしか考えられなくなるので、しんどいんです。最近、もっと楽しいことがほかにもあるんじゃないかと思ってきて(笑)。
――これほどのキャリアを重ねられてきて、ここ最近ですか!
――それでも音楽を作る楽しさは変わりない?
――それはもう、ある意味で才能ですね。
植松個人的には、メインテーマができれば仕事の半分くらいが終わった気分になれるんですね。そのゲームを代表する世界観を表現できたとホッとするのですが、そういう意味でも
メインテーマは時間もかかりますし、『FANTASIAN』でもいちばん時間がかかったかもしれません。
。“希望を持って仲間と前に進む”というイメージはあったかもしれません。坂口さんとの話や膨大な文字や絵の資料を見て伝わった世界観から生まれました。
植松ドレミファソラシドで表現できる音楽、雰囲気を重視したい音楽、優雅さを出したい音楽など、それぞれに合わせてバンドやオーケストラの編成を考えたりはしますが、それ以外の雑音や効果音と合わさったひとつの完成形を目指すのであれば、シンセサイザーがいちばん向いていると思います。
そもそもシンセサイザーは“発信機”なので、正しい音階を奏でなければいけないものではありません。ドとドのシャープにあいだにもたくさんの音程が存在するわけで、アナログシンセサイザーは音程とは関係のない何かを表現できる楽器ですから、それに合った楽曲を作ります。
――シンセサイザーという楽器にはデジタルなイメージがありますが、ファジーな部分もあるのですね。
――徹頭徹尾、自分だけの世界を自分だけの責任で表現できる、と。
植松じつは、オーケストラやバンド編成で演奏してきたことはあっても、自分だけの演奏を披露したことはなかった。さらに言うと、『
ファイナルファンタジー』ははなっから世界が相手だったわけで、“嵐”に巻き込まれているうちにロイヤル・アルバート・ホール(英・ロンドンにある、1871年に開設された歴史的なホール)だ、どこそこにある何々だ、と何千人を相手にしたトップクラスの会場でコンサートを開催することになって……いわゆるライブハウスでの演奏など、ふつうなら踏むべき“中間”を体験していないんです。
そこを体験せずには死にきれないし、
――植松さんが手掛けられるゲームの音楽ではジャズ、プログレッシブ・ロックやハード・ロック、クラシックにオペラと、じつにさまざまなメロディとリズムが楽しめますが、『FANTASIAN』ではそれがとくに顕著なイメージを受けました。
植松『FANTASIAN』の作曲はものすごく自由で、ロックをやろうとかクラシックをやろうとか、あまり考えずにのびのびと、やりたい曲を作れました。
坂口さんは昔からそうで、『ファイナルファンタジー』でも「任せます」としか言われなかった。もちろん「イメージと違う」と思ったら言われますが、「こういう形に直せ」といった指示はありませんでした。そういったモノづくりの環境で、たくさん勉強させていただきましたし、その結果が『FANTASIAN』の音楽になったと思います。
――だからこそ、『FANTASIAN』では多彩な音楽が聴けるんですね。
植松
僕は作曲家以前に、単純に“音楽のすごいファン”なんですよ。クラシックもジャズも民族音楽も、全部おもしろい。たとえば「ロックは好きだけどジャズはなぁ」という方もいると思いますが、それはロックを聴く耳でジャズを聴くからそう思うだけであって。ジャズを味わう気持ちで聴かないと、おもしろくならない。フランス料理を食べに行ってチャーハンが出てきたら、それはおかしいと思いますし、おいしく感じない。だったら、フレンチを楽しみにして、お店でフレンチを食べたほうがおいしいですし、楽しめます。音楽も同じで、その音楽を楽しもうという気持ちで聴いたほうがいいでしょう。
――「やっぱりチャーハンのほうが好きだ」というなら、それでいいですもんね。
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