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 混沌(こんとん)とする世界に、協調による安定をいかにもたらすか――。外交官当時から国際法が目指す理想と国際関係の現実のはざまで格闘し、80歳代半ばまでオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で裁判官を務めた小和田恒さんは、なお日欧の架け橋となって後進の若者を育てようとしている。その思いとは。
 「ICJにいる間に非常勤の名誉教授に任命されたライデン大で話す機会を得たのがきっかけです。日本が開国に際し『文明社会の法』としての国際法をいかに理解し受容したかの歴史や、私が直接関わった1991年の日・EC(欧州共同体)共同宣言締結の背景や日欧関係における意味など、国際法や国際関係の問題を広範に話しました。学生はとても興味を持って議論に参加してくれました」
 「帰国する私にライデン大総長から『ICJと本学へのあなたの貢献を記念し講座を作りたい』という話があり、東大との協力の場として引き受け、東大とは私が相談して協議を重ね10月からの講座開始にこぎつけました。中心テーマは『国際法と国際関係の相互作用』とし、両大学が担当を毎年交代し両国で6年間開催されます」
 ――講座の狙いは何でしょう。
 「17世紀の欧州では、30年にわたって続いた宗教戦争を和解に導くウェストファリア会議で1648年に講和が実現し、主権尊重、内政不干渉を中核とする『主権国家の併存に基づく近代国際秩序』の枠組みが確定します。近代国際法学はここから発展し、ユートピアを目指す規範主義的指向が強いといえます。その動きが頂点に達したのが、戦争法規の人道化と国際紛争の平和的解決を掲げた1899年のハーグ平和会議でした」
 「これに対し、2度の大戦とナチス台頭への幻滅から生まれたのが現在の国際関係学です。ジャングルの掟(おきて)が世界を支配するという認識に立つ現状肯定的指向が主流で、今の世界の流れの見方はこちらに傾きがちです。国際法学が目指す理想と、国際関係学が取り組む現実のギャップを埋める努力がなされず、互いに正統性を唱える状況が特に冷戦後の国際社会の見方を乖離(かいり)させてきたのではないか。近代以降の歴史の流れを巨視的に見て『国際法と国際関係の相互作用』を的確に捉えることが、世界に安定的な秩序をもたらす道ではないかと考えるのです」
国際秩序を取り巻く今日の状況について、小和田恒さんは「進化の歴史の中の『幕間劇』と言える段階」と語ります。その意味とは何か。記事後半に続きます。

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