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引退後に手作りしたトンボ 甲子園の夢、後輩に託して
 特別なトンボは、前主将の穴山慶太さん(19)が手作りした。桜宮には、入部間もない1年生の部員たちがトンボを手作りする「伝統」がある。だが、穴山さんがトンボを作ったのは昨夏の引退後だ。
 昨年、新型コロナウイルスの感染拡大で休校になり、部活もできなくなった。穴山さんは自宅で素振りをしたり、走ったりして体力を維持した。プロ野球選手が自宅でトレーニングしているネット記事を見つけたら、LINEのグループで部員たちと共有した。「プロも同じ状況。俺らもできることをやろう」とモチベーションが維持できるよう声をかけた。目指していたのは、桜宮の悲願の夏の甲子園出場だった。
 しかし、昨年5月に休校があけて、「さあやるぞ」というときに夏の甲子園がなくなったと決まった。落ち込んだ。「だが、地方大会はあるかも、という希望はあった」と穴山さん。野球への気持ちは切れなかった。甲子園は幻になったが、気持ちを切りかえ、選手権大阪大会に代わって開かれる府大会での「大阪一」を目指し、練習に励んだ。
 同大会に登録したのは全て3年生。2年生など下級生はグラウンドの整備や練習の準備などサポートにまわった。
 トンボを作ろうと思い立ち、作り始めたのはその翌日だ。「後輩たちがグラウンドを少しでも使いやすくなるよう、サポートしてくれたお礼にトンボをプレゼントしよう」。近所のホームセンターで木材を買い、組み立て、土をおこしやすくするために先端に釘を打ちこんだ。
 1本の持ち手部分には、油性ペンで「がんばれ」と書いた。トンボを使うのは、ノック練習が終わった後や練習後。「疲れているときに文字が見えたら次の練習も頑張れるかなと思って」。できあがったトンボ2本は自転車で学校まで運び、グラウンドにさりげなく置いておいた。
 「トンボ、かためてあるところに置いといたで」。現主将の辻野昂太君(3年)は、穴山さんからそう伝えられた。これまでグラブなどの野球道具を後輩にあげる先輩はいても、手作りのトンボは聞いたことがなかった。あまりおしゃべりなタイプではなかった穴山さんからのプレゼントに「びっくりした。気にかけてくれているんだとうれしかった」。
 みんなで使っているうちに、「がんばれ」はだんだん薄くなって、今は文字跡がうっすらと残っているだけ。それでも辻野君は「使う度に身が引き締まり、頑張ろうと思える」と話す。
 穴山さんは「あのトンボでグラウンドを平らにして、けがのないように練習してほしい」と願いつつ、自分たちが果たせなかった甲子園出場の夢を後輩たちに託している。(甲斐江里子)
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