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 歌手や俳優としてキャリアを積みながら、5年前に起業。自然と調和するライフスタイルを掲げ、環境に配慮して作られた衣服や生活雑貨、食品などを企画、販売する「レトロワグラース」を創立した。現在は環境省の「環境特別広報大使」も務め、国立公園の魅力を国内外に伝える活動を手がけている。
 「何かを買って食べるということだけでも、毎回、ゴミが出ますよね。その中には、自然のサイクルで循環しないものもある。それを作り、使ってしまっていることへの罪悪感が自分の中にどんどん増えていって、解決したい、と思ったのがきっかけです。もちろん、一つの企業やブランドで何かを成し遂げることは難しいけれど、問題提起の一つの方法にはなるんじゃないかなって」
 製品は素材からこだわり、生産過程を追えるものを選ぶ。たとえばウールなら、リサイクルウールや羊の皮膚を傷つけずに毛を刈る農家のものを採用。化粧品の原料も、環境への負荷が少なく、持続可能な体制で作られたことを第三者機関が認証したものを使う。
 「そういう部分はこれまで、企業の評価軸としては大きくなかったと思うんですけど、今後は主流になっていけばいいなと。ものの理についてはどんどん追求したいタイプなので、新しい事実が分かればきちんと直面して、もっといい案や、違う方法があれば変えていく。国際情勢社会情勢など、どうしようもできない事情に左右される面もあるとは思うんですが、意識して選んでいきたい」
 とはいえ、コロナ下の服作りは大変だった。「工場が止まってしまい、大打撃でした。スケジュールを全て後ろ倒しにして。でも、作る仕組み自体を見直すきっかけになりましたし、よりうまくバランスを取れるように、体制を整える時期でしたね」と振り返る。
 バランスを見直したのは、生活全般についても。「仕事で忙しいから時短、時短って。衣食住や遊びという、人生で一番大事なものを切り詰めて、浮いた時間で何がしたかったんだろうと顧みることができました。私は、日々の営みを楽しむことで豊かだと感じられるんだなと」
 人に会わない時期も、おしゃれは欠かさなかった。「むしろ、よりおしゃれをするようになりました。対外的に装うというより、私にとってのおしゃれは、自分の心が楽しめるかどうかなんだなと」。家だからこそ着られる、露出の多いスポーツウェアに、気に入っているのに、1回しか袖を通したことのない服。「この先何回着られるんだろうと思ったら、もっと着てあげないとって」
 住環境の面でも、変化があっ…

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