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 第36回となる「かんだい明日香まほろば講座」(奈良県明日香村・関西大学主催、朝日新聞社後援)が6月、オンラインで開かれた。テーマは昨年、完成1300年の節目を迎えた『日本書紀』。文字がつづる飛鳥・藤原京時代の社会復元に、歴史学や国語学、考古学の専門家が多彩な視点で議論を交わした。
 『日本書紀』は『古事記』と並んで現存する日本最古の歴史書。今も昔も古代史研究の中核的な素材だ。中国の歴史書にならって重厚な漢文で記され、正史としての威厳に満ちている。
 国語学の乾善彦・関西大教授は「文字を書くことは決して普通のことではなかった。文書主義の律令制度を維持するため歴史書が求められた。文字の権威に着目すれば、対外的な面だけでなく対内的にも歴史書をつくることは必要なことだった」と指摘する。
 まさに国家体制を象徴し、その正統な統治機関であることを保証するために誕生したような『日本書紀』だが、それゆえに様々な潤色や史実の改変がいくつも加えられ、扱いには厳密な史料批判が欠かせない。
 「(飛鳥時代最大の内乱、壬申の乱に勝利した)天武天皇にとって簒奪(さんだつ)政権とみられるのを避け、正当化するためにも、満を持して開始した編纂(へんさん)事業だったのではないか」と関西大の西本昌弘教授はいう。そんな文脈の奥に潜む政治的意図を解きほぐし、隠れた真実に迫るための手がかりが、遺跡で出土する木簡だ。
 木簡とは文字などが書かれた…

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