ボートの伊代表、諏訪湖で合宿　下諏訪出身 早大漕艇部監督の内田さんが奔走　「中高生に練習見せたい」 | 信毎web

　下諏訪町の下諏訪ローイングパークで東京五輪の事前合宿を続けるボート競技のイタリア代表。当初は都内の競技会場で調整する計画だったが、新型コロナ対策で国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）から選手村での滞在短縮を求められ、下諏訪に来た。その裏で奔走したのが町出身の早稲田大漕艇(そうてい)部監督、内田大介さん（６５）。難しい状況下、受け入れを決断してくれた故郷に感謝している。
　内田さんは岡谷南高（岡谷市）漕艇部でボートを始めた。早大進学後も競技を続け、山梨県の高校教諭を経て、２０１４年から同大漕艇部の監督を務めている。同大はイタリアオリンピック委員会と事前キャンプの契約を結んでいたこともあり、大会直前の行き場がなくなった選手が万全な状況でレースに臨めるよう、調整に動いた。
　イタリア側からは事前合宿地として、羽田空港から３、４時間以内にある場所が希望として挙がった。候補の一つとして浮かんだのが下諏訪町。内田さんは高校時代、諏訪湖で幻のモスクワ五輪代表となった岡谷市出身の故岩波健児さん（１５年に死去）と同じクルーで汗を流した。
　内田さんにはそこで練習を積む中高生に、ボート強豪国の姿を見せたいとの思いもあった。各地で五輪代表の合宿受け入れを辞退する動きが報じられていた。町と粘り強く交渉し、新型コロナ対策を徹底しながらの受け入れを了承してもらった。
　内田さんは今、山梨県の河口湖で、同じように窮地に陥ったボート強豪国のクロアチア代表の受け入れに対応している。１６日も早朝からモーターボートに乗り、サポートに徹した。
　ボート競技者にとって、諏訪湖で強豪国が練習しているのは「奇跡のようなこと。岩波が誰よりも喜んでくれたかもしれない」と内田さん。「諏訪湖で質のよい練習を積み、一つでも高いところに行ってほしい」と合宿の成功とイタリア代表の活躍を祈っている。
（福島愛美）

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