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70円に値上げする時に制作された「値上げCM」=赤城乳業提供
 しかし、思わぬ落とし穴があった。14年に発売したナポリタン味は3億円の赤字を出してしまう。「まわりが見えなくなっていました」と広瀬さん。何度も試作を重ねていくうちに「普通だ」「ナポリタン感が足りない」という声が上がり、いつしかおいしさよりも「完全なナポリタン味の再現」に注力。ピーマンの香りまで足してしまった。「プロジェクトチーム全体の感覚がマヒしていたんだと思います」と振り返る。
 大赤字を経験し、「おいしくなきゃいけない」という当たり前のことを再認識。その後も、焼きたてパンのような香ばしい風味の「メロンパン味」や、まんじゅうの食感を再現した「温泉まんじゅう味」など変わり種を発売したが、反省を生かし、おいしさを重視した。ちなみに新しい味は、開発担当だけでなく、営業や技術、デザイナーなど複数の部署からメンバーが集まり、意見を出し合って決める。一般的な意見に偏らないよう「多数決で決めない、ということも大切にしている」というから面白い。
 発売当初は50円だったガリガリ君は1991年に60円に、2016年には70円に値上げ。16年の値上げの際には、社員が神妙な面持ちで頭を下げる「値上げCM」を流した。これが大きな話題になり、海外メディアでも取り上げられた。「批判は覚悟したのですが、思っていた以上に励ましの声をいただきました」と、広瀬さん。その年の売り上げは、前年より500万本アップ。値上げというマイナス要因すら、ファンを増やすきっかけにした。
 消費者の声をいち早く取り入れる柔軟性と遊び心。これが絶妙なのだろう。一つの味に3種類のパッケージデザインがあるのも、選ぶ楽しさと会話を楽しんでほしいとの思いから。職場でも、ガリガリ君の新しい味が出ると、話題になる。おいしさだけでなく、コミュニケーションツールとしても定着しているのだ。
 子どものころ、盆踊りに参加するとアイスキャンディーがもらえた。町内会のおっちゃんがくれるのは、いつもガリガリ君。祭りの明かりの中で、同級生とガリガリ君を食べた時間は、何だか特別だった。私の住む地域では新型コロナウイルスの影響で、2年連続で盆踊りが中止になった。子どもたちの夏の夜の思い出は、今年も紡がれないままだ。せめてベランダに出て、家族でガリガリ君を食べよう。来年こそは……と願いながら。【水津聡子】
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