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「アメリカ社会の人種関係と記憶」 [著]樋口映美/「ホワイト・フラジリティ」 [著]ロビン・ディアンジェロ
 去る1月6日の米連邦議会襲撃事件の衝撃的な光景を前に、歴史家の脳裏には既視感がよぎった、というと奇異に過ぎるだろうか。
 そんな「忘れられた」歴史の一面に、より深い光を当てるのが『アメリカ社会の人種関係と記憶』である。
 19世紀末の米国は地方政治を舞台に「人種分離」による差別を法制化した。背景は「リンカーンの政党」こと共和党に押された民主党が、党勢回復に白人優越主義を煽(あお)ったからだ。さらに長期不況下での雇用不安が黒人層への反感を醸成。かくて南部ノースカロライナ州ウィルミントンでは市議会選を機に白人勢力が武装蜂起して黒人新聞社を襲撃し、融和的な白人指導層まで市から追放する「白い革命」を遂げたのである。
 注目すべきはこれが日本の研究者の手で既に約40年前に書かれていたことだろう。以後、近年に至る本書の各論は社会史研究の視点と方法の深化を表し、巻末の白人公民権運動家との対話も米国社会の心の葛藤をよく伝える。
 他方、この白人社会の内面を抉(えぐ)るのが『ホワイト・フラジリティ』、白人の「心の脆(もろ)さ(フラジリティ)」を容赦なく指摘する論争の書だ。
 著者は企業などのダイバーシティ研修にも出張講義する多文化主義教育の専門家だが、研修先は白人エリート男性が多く、隠れた偏見の現状を説いただけで「緊張感と嫌悪感が部屋中にみなぎ」る。しかしそれが自分の内なる歪(ゆが)みを直視できない弱さの表れだと著者はいう。自己啓発講座にある「怒らせて悟らせる」手法のようだが、著者は最後まで安易なオチを作らない。それどころか「白人のアイデンティティは本質的に人種差別的」だとまでいうのである。
 重要なのは、これが単なる差別への罪悪感の表れではないこと。むしろ現代の米国社会が生まれ変わろうと苦しむ姿だ。逆説的ながら、それをここまであからさまにできるところに一縷(いちる)の希望が見えるのである。
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